女子高生はいつでもどこでも最先端なのであった

 20代の後半、アパレル会社に勤務してたんです。平たく言うと、アメ村の服屋の兄ちゃんですな。覚えたてのパソコンでTシャツのデザインをするのに夢中になってましたが、手書きのポップを作るのも楽しかったです。最初はバイトの女の子がそういうのが得意で書いてもらってて、見よう見まねで自分でも書くようになりました。

 
 仕入れた商品が入っていたダンボールを切って、それに赤と黒のマジックで書いてました。場所柄、修学旅行生が多く、たまに女子高生がそんなポップを見て「欲しい!」とせがんでくるんです。理由を聞くと「かわいいから」とのこと。『はぁ?商品名と値段書いてるだけやで』と内心思いつつも、キュートな女の子の頼み事を断る理由はありません。小躍りしながら帰っていく女子高生の後ろ姿を見送りながらボンヤリ佇んでいると、バイトの女の子に叱られました。
「私が書いたポップやで!早よ書いといてや!」
 
 Tシャツのデザインから始めて、DTP、Webと、今やすっかり仕事はパソコンが欠かせなくなってしまいました。ラフさえもアドビのイラストレーターやフォトショップで作ってPDFで配布したり、デジャブのようなデザインとか、巷に溢れまくってる素材集とか‥‥‥。デジタル世界に携わりながらも、もうエエわみたいな膨満感、アナログ的なものに対する飢餓感。例えるなら、肉ばっかり食べてて、野菜がないみたいな。皿いっぱいの塩茹でブロッコリーちょうだい、マヨネーズもつけといてネ、みたいな‥‥‥。ちょっと違うか。
 

 サインペイントにも実に多くの手法が存在するが、そのなかでも手描きによってサインを描いていく手法が、近年再び注目されるようになってきている。コンピュータとプリンターを使って作られたサインが氾濫するなか、現代になって手描きのサインが持つ独特の雰囲気や、クラシックなアナログ感、そしてそのアーティストならではの個性によって、現代だからこそ、昔ながらのスタイルが逆に新鮮に映る時代がやってきた。
チョークアート – 手描きだからこそ出せるチョークアートの魅力 より

 最近、レストランやショップなどでも、黒板や窓ガラスに書かれたメニューやサインボードが目立つようになってきましたね。
 この本は、東京、ロス、ニューヨーク、ロンドンで活躍するチョークアーティストのメニューやサインボードなどの作品が楽しめます。オーソドックスなものから、カラフルなイラストを取り入れたもの、中には黄金比を使った設計図のような緻密な作品もあります。あと、お店のスタッフが描いたと思われる、味のあるサインボードの街角スナップも多数掲載されてます。
 
 まぁ、インテリア雑貨でもチョークアート風のものがあるぐらいですから、一連の作品、部屋に飾ってみたい気もします。
 そう考えると、こういった作品と比べるのは失礼ですが、ポップお持ち帰りの女子高生、かなり時代を先取りしてたんやね。

オススメ

チョークアート (CLUTCH BOOKS)

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