王様の「湖上の煙」でも有名な移動式レコーディングスタジオは、ストーンズの「The Mobile Studio Limited」でしたね。その顧客には歌詞にも出てくるフランク・ザッパもいるので、同じ時に使ったんかなぁって思ったり。ザッパ聴かんので知らんけどね。
同じような時期、フェイセズにいたロニー・レインもモバイルスタジオを持ってたんだね。
フェイセズ脱退後、ロニーはトレーラーで生活を始め、スリム・チャンスとともにサーカスのキャラバンのようなコンサート・ツアーを始める。ロック・スターの飛行機とリムジンとホテルに閉じ込められた生活を嫌い、DIY精神で別の道を切り開こうとしたのだ。
スリム・チャンスのサード・アルバム『ワン・フォー・ザ・ロード』のジャケッットでメンバーが背にしているアメリカ製のエアストリーム・トレーラーは、実はそのモバイル・スタジオなのだ。1972年にロニーはこのトレイラーを輸入。内部をスタジオへと改造する。当時、ローリング・ストーンズはすでにモバイル・スタジオを所有していたが、個人でそれを持とうとしたのはロニー・レインが最初だろう。トレーラーにはスチューダーの8トラック・レコーダーと黒いヘリオスのコンソールが運び入れられた。「スタジオの音が聴こえる 名盤を生んだスタジオ、コンソール&エンジニア 」Track 2 ブラック・ヘリオスをトレーラーに積んでイギリスを駆け抜けたモバイル・スタジオLMS より


てっきり、フェイセズ脱退後は病気になっちゃったって思い込んでいたので、モバイルスタジオを持ってたなんてちょっと意外でした。その移動式スタジオLMS(Ronnie Lane’s Mobile Studio)でフェイセズの「Ooh La La」やツェッペリンの「Physical Graffiti」なんかが録音されたそうです。
この本「スタジオの音が聴こえる」には他にも、マッスル・ショールズやA&M、A&R、オリンピック などのレコーディング・スタジオが出てきます。個人的には当時その音に衝撃を受けたコンパスポイントスタジオが興味深かったです。
教会を改築したり、ベルリンの壁の側にあったり、70年代に隆盛を極めたスタジオにはそれぞれ個性がありました。しかし栄光は長くは続かず、ここに出てくるスタジオは現在ほとんど閉鎖されているそうです。寂しい限りですが、当時の音源を聴きながら、この本を読むのも一興でしょう。できるなら、ぜひアナログレコードで聴いてみたいものです。
それじゃ、またね〜
タタンタタンタタンタタンダカドン ダダ♪
オススメ
★「スタジオの音が聴こえる」内容紹介
なぜ70年代のレコードは音がいいのか?
サウンド・プロダクションの重要性が増した現在でも、DAW上で参照されているのは、60~70年代の機材を使ったエンジニアリング・テクニックであることが多い。本書に取り上げたインディペンデント・スタジオで起った出来事がいまだ影響を与えているのだ。
『ステレオサウンド』での人気連載、待望の書籍化!
音楽ジャンルさえ生んでしまった、インディペンデント・スタジオの機材、エンジニアなどに注目し、「あのサウンド」の生まれた背景、手法に迫る。
プロエンジニアでもある音楽評論家、高橋健太郎が、名盤のサウンドの秘密を解説した、オーディオファンも必携の1冊。
エンジニアの音、スタジオの音。レコードは共同作業による総合芸術である。
アマゾン 内容紹介より