ポール・マッカートニーの奥さんリンダは、ウイングスのキーボード&コーラスでしたが、写真家でもありました。
結婚前は、彼女の写真が、雑誌「ローリングストーン」の表紙で使われたこともあり、ビートルズは言うに及ばず、ストーンズ、フー、ジミヘン、ジャニスなど、錚々たるミュージシャンたちのステージや日常を写していました。
フォトグラファーになった切っ掛けは、雑誌の受付嬢として働いていた時、たまたまストーンズのプレス・パーティーの招待状を見つけたことだったそうです。ハドソン川に浮かぶヨットでのパーティーで、カメラを持っていたのは彼女だけ。リラックスした表情のメンバーを、アマチュアながらたくさんシャッターを切るうちに、カメラの楽しさに目覚めたようです。
その後、ニューヨークのライブハウス「フィルモア・イースト」の専属写真家となり、当時珍しかったロック専門の女性フォトグラファーとして、ミュージシャン達から愛されるのです。その間、ポールと出会い、結婚、出産、子育てと経るうちに、被写体が、家族など、ごく親しい人々に限られるようになっていきました。
1976年に出版された「LINDA’S PICTURES」は、そんな彼女の人生をたどるような写真集です。ストーンズのフォトセッッションから始まり、露出計の使い方がわからないながらも、味のある写真を思うがままに撮っていく。被写体のありのままを自然に、その人の内面を切り取る、リンダの写真はそんなスタイルでした。よい写真を撮るには親密さが重要だといわれますが、リンダはうまい具合に相手の懐に入り込み、被写体をリラックスさせるのが上手だったんでしょうね。
1998年、彼女は惜しくもこの世を去ってしまいましたが、存命であれば、今日75歳を迎えます。
ぜひ、写真集を見ながら、ウイングスの名曲「With a Little Luck(しあわせの予感)」を聴いてみてください。リンダの人となり、家族への愛が感じられることでしょう。
少し運があれば なんとかなる
うまくいくよ
ささやかな愛があれば 心の荷物が軽くなる
ほら 街のざわめきを感じるだろ?一緒に頑張れば 何だってできる
大丈夫だよ
嵐にも負けない しなやかな柳のように
きっとできる
君とぼくならWith a Little Luck より